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8月のおすすめ映画 文化放送「上地由真のワンダーユーマン」推薦
(2023年8月15日10:30)
文化放送「上地由真のワンダーユーマン」(月曜午後9時30分)でパーソナリティ―の上地由真と映画ソムリエの東紗友美さん、映画評論家の荒木久文さんの3人が8月のおすすめ映画を紹介して見どころを解説した。同番組では毎週テーマを設け“由真的”テイストで進行。毎月第1週目は「今月のシネマログ」と題し、その月に公開される話題の映画作品を上地由真と映画の専門家2人が紹介する。今回は8月7日の放送で「リボルバー・リリー」「春に散る」「Love Will Tear Us Apart」が紹介された。
上地 上地由真のワンダーユーマン!今週もよろしくお願いします。今日は月に一度の映画をフューチャーする回、題して「今月のシネマログ」映画ソムリエの「さゆみん」こと東紗友美さん、映画評論家の荒木久文さんとお届けします。よろしくお願いします。
荒木・東 よろしくお願いします。
上地 夏ですね~。大作揃っていますね。
東 そうですね。
上地 私、ミッション(『ミッション:インポッシブル/デッドレコニングPART ONE』)観たいんですよ。
東 今年ついに公開されましたが、私もう観たんですけども…。
あの話題になっている崖からバイクで飛び降りるシーンがあるんですけど、あそこでモトクロスバイクのアクションをトム・クルーズ、何回練習したと思いますか?
13000回。
上地 えっ、10000?!
東 そう。で、スカイダイビングは500回練習しているの。
その甲斐あって本当にスクリーンで観ると心臓が止まるんじゃないか、っていうぐらい迫力があるシーンになっていて・・。本当に今回もアクション、期待を超えてくれていて。
やっぱトムはね、私たちの欲しいものをくれる人ですよね。荒木さん、観ました?
荒木 観ました、観ました。私より10も年上なのにね…。
上地 あはははは! 荒木さーん?荒木さん、鍛えないと!
荒木 いや~、素晴らしいですよ。僕はね、パラグライダーやっていたんですけど、あのパラグライダーの場面のテクニックっていうのはね、目立たないけどすごいテクニックなんですよ。急旋回下降。あれは普通の人じゃ出来ない。
上地 絶対出来ない? いや~、すごい楽しみ。
荒木 細かいところも本当に気を遣って、大胆かつ細心に作ってあるすごい面白い映画ですよね。
東 ぜひスクリーンで観てほしい。
上地 はい、観に行きたいと思います。
今日は月に一度の映画をフューチャーする回、題して「今月のシネマログ」。
8月公開の映画の中から、私、上地由真とさゆみん、荒木さんの三人が「これはおすすめ!」と思った作品をご紹介していきます。それではまずさゆみんからお願いします。

東 私がご紹介するのは8月11日から公開の『リボルバー・リリー』です。
あらすじ。1924年、関東大震災から復興する大正末期の東京が舞台です。
大正時代のモダンな建物が増えて繫華街がとても賑わっている時期のお話です。
3年で57人の殺害に関与し、かつて最も排除すべき日本人と呼ばれていた元諜報員の女性、スパイですね。この小曾根百合(おぞね・ゆり)という女性はカフェ「ランブル」の女将をしながらひっそりと暮らしています。ですが彼女はある日、謎の男たちに家族を殺されある重大なカギを握る少年に助けを求められ、彼女と少年は謎の男たちに追われることになってしまいます。大震災後の東京を生き抜く2人の逃避行の行方はどうなるか…というお話です。
長浦京さんが第19回大藪春彦賞を受賞した元々は650ページ以上もあるハードボイルド小説を綾瀬はるかさん主演で映画化しました。監督は『世界の中心で、愛をさけぶ』『ナラタージュ』『窮鼠はチーズの夢を見る』などのヒット作を手掛けた恋愛映画の巨匠という印象が強い行定勲さんが務めました。
私も見せていただいたんですけど、アクションが本当に絵画のようで美しかったです。
行定さんといったら人間ドラマとか恋愛映画の印象が強くて、今回初めてのアクションだったので、行定さんが監督って聞いた時どんなふうになるのかなって思っていたんですけども。やっぱり行定さんってワンシーン、ワンシーン本当にこだわられる方なので本当に綺麗でしたね。
特にポスターにもなっている真っ白な、まさしく百合のようなドレスを着てド派手なアクションを披露する姿は本当に日本映画屈指の歴史に残るようなアクションになるんじゃないかっていうぐらい綺麗でしたね。女性が主人公のアクション映画っていえば、邦画ってはっきりとした女性主人公の“ザ・強い”アクションって、最近なかったなっていう印象だったんですけど。だから邦画のイメージを海外から変えてくれるような、変えるぐらいかっこいいアクションでしたね。綾瀬さんすごかったですよね。
荒木 そうですよね。元々運動神経いいらしいんですけど。ほんわかした感じの人で運動苦手かなと思われるんですが、50メートルを7秒で走ったり、とか。
東 えー!早い~!
荒木 バスケットもやっていたし。今もほら、テレビでサッカーやってるでしょ?サッカーのCM。ハードルもやっていましたけど。なかなか様になってますし、運動神経とってもいい人ですよね。運動神経のいい女優さんっていっぱいいますよね。土屋太鳳さんだとか、広瀬すずちゃんもいいしね。山本舞香ちゃんとかね。
上地・東 清野菜名ちゃんとかね。
荒木 清野菜名さん。清野さん、一番かな?綾瀬さんはいろんなことを全部こなせる女優さんでありながらアクションも素晴らしいっていうんでね。
東 身体もなんか軸がしっかりされていて本当の強さみたいなものを感じられるので。
荒木 立ち姿がすごくシャキッとしていて背中もね、この前プレミアで大胆に出たドレスをお召しになっていたんですけど、背中が綺麗ですよね。
東 あとね、セットが和と洋のモダン。これが大正時代2.0みたいな独自の解釈もされているようなセットですごかったんですけど。由真さん?!
上地 そう。私はこの撮影に参加させてもらったんですよ。
東 そうですよね。
上地 はい。まさにそのセット、百合が住んでいるカフェ「ランブル」が玉の井という場所があのシーン、陸軍が攻め込んでくるというシーンのところにいたんですけど。そのセットが、入った瞬間にタイムスリップしたかのように玉の井の独特の細い道とか、もう細部にこだわりがあって細かくて。例えば求人募集の紙が貼ってあったりとか、すごいセットで入っただけでテンション上がって。こんな中でお芝居出来るって、幸せだなあっていうふうに思いましたね。
東 なるほど~。俯瞰的に見るだけじゃなくて細かなところに注目すればより楽しい発見とかもありそうですよね。
上地 面白いですね、はい。
荒木 大正時代のお話で、ちょうど100年前ですよね。
東 そうですよね。1920年代…。
荒木 大震災の次の年っていう設定でしたからね。この大正っていう時代はですね、本当にいろんな、近代と現在の狭間みたいなところで政治的にはね、映画にも出てくるように陸軍、軍部がね、内政にも外交にも口を出していた、本当にシビリアンコントロールなどなくなって、どんどんどんどん動き始める気配のある、胸騒ぎっていうか、そういう時代背景があったので、こういったガンアクションあってもおかしくないな、っていう雰囲気ありますよね。そういう時代性っていうか。
荒木 今言ったようにとにかくこの映画、すごいお金かかっていますよ。
上地 でしょうね。セット見た瞬間に、これはすごい!って思いました(笑)
荒木 元々ね、近過去映画ってお金かかるんですよ。時代劇になっちゃうと、もうセットがあるからいいんだけど。近過去、特に昭和の初期とか大正の末期というのは、存在しないですから全部作らなきゃいけない。足りなかったらVFXをやらなきゃいけないっていうので・・。これはねもう本当にお金かかって、宣伝のプロデューサーがですね、もうすごくお金かかっているからヒットしてもらわないとやばい、っていうふうに…。
上地 あははは!
東 だってこれだけのドンパチも、正直期待していた以上のドンパチを見せてくれていましたし。あとセットのお話していたんですけど、ファッションも本当に綺麗でしたね。これ1924年の設定なんですけど、この時代ってちょうどディカプリオの主演が記憶に新しい『華麗なるギャツビー』と同じ年代なんですが、欧米ではこの当時フラッパーガールっていう文化がすごく流行していて、おてんば娘みたいな意味なんだけど、20年代に従来の社会や道徳に囚われず自由に行動した若い女達のことを意味する言葉で、このフラッパーガールって、文化でありファッションのスタイルとも呼ばれているんですけども、そのフラッパーガールが着ていたものにちょっと色気の要素を足したファッションを綾瀬さんがされていて、実際に大正時代に日本で着られていたものというよりは、大正時代という設定の土台に囚われずに表現されていて、欧米で流行っていたものを日本に持って来て着ているっていう設定なんですけど。その衣装が本当に綺麗だったので。
上地 よく似合っていましたよね。
東 よく似合っているんですよ。そういったファッションも見てほしいし、やっぱり銃ですよね。
荒木 はい。そのファッションで撃つリボルバーっていうね。
上地 かっこいい~!
荒木 もうとにかく火薬使っているんですよ。軍部も撃つし、こっち側、リリーも撃つっていう。とにかく撃ちまくり。とにかく一番お金かかるのは、またお金の話で申し訳ないんですけど、火薬なんですって。あれほど火薬を使っている映画は他にないっていうことで、ガンマニアの人だと、僕はあんまり詳しくないんですけど、当時の軍隊が南部式っていう銃とかね。それからリボルバー・リリーのキャッチ―になっているリボルバー、これがね、もう百合の手に吸い付くようですね。特に接近戦の銃撃が多いの。『ジョン・ウィック』みたいな。ああいう格闘技を含めたガンという非常に斬新で面白い銃撃戦を見せていただきましたね。
東 はい。いや本当にね、綾瀬さんがかっこよく戦う姿は女性として見ているだけでエンパワーメントされて、観賞後にはものすごく何かが自分の中にもみなぎっているような気分になる作品でした。
すごかったです。私、東紗友美がご紹介したのは、8月11日から公開の『リボルバー・リリー』でした。
上地 ぜひ皆さん観てください。続いては、映画評論家・荒木さんのおすすめ作品です。

荒木 はい、私はですね、8月25日公開、真夏ですけど『春に散る』という作品をご紹介します。ストーリーからいきますと、ダブル主演って言っていいんでしょうね。
この作品の主人公は2人います。1人目は元ボクサーの広岡仁一役の佐藤浩市さんが演じていますけども、まあおじいちゃんですね。彼は現役の時、試合で不公平な判定で負けたことをきっかけにアメリカに行っちゃってですね、40年ぶりに日本に帰ってきます。
その時に偶然 同じく不公平な判定で負けて心が折れていたボクサーの黒木翔吾くんという、これは横浜流星さんがやっているんですけども、彼に出会います。ちょっとしたことで路上で殴り合いになるんですね。それで翔吾くん、若い翔吾くんがダウンしてしまうということになります。その結果、おじいちゃんの広岡さんにボクシングを教えてほしいと懇願するんですね。最初は断った広岡でしたけれども、かつてのボクシング仲間に背中を押されて引き受けることになって、やがて2人は世界チャンピオンを目指して命を懸けた戦いの舞台に挑んでいく・・・という、そういう作品なんですが、ボクシングに命を懸ける男たちの生き様を描いた人間ドラマですけれども。2人の感想を聞く前にボクシング映画ってどうですか?ご覧になりますか、東さんは?
東 私、好きで見入ってしまいますね。
荒木 ああ、そうですか。どんなものが印象に残っていますか?
東 最近だと岸井ゆきのさんの『ケイコ 目を澄ませて』、はい。
荒木 はい。そうですね、日本映画にもありましたし。由真さんは?
上地 私も観ますね。『百円の恋』とか『クリード』とか。
荒木 はい。まあボクシング映画ってたくさんあって、何と言っても有名なのが『クリード』を含めた『ロッキー』シリーズですよね。あと『レイジング・ブル』とか、それから『チャンピオン』もありますよね。日本でも『百円の恋』とか『あしたのジョー』とか。
上地 ああ、そうだ。
荒木 「春に散る」、観ていただいて、それぞれご感想をちょっと一言ずつ…。
上地 やっぱりボクシングのシーン、横浜流星さんと窪田さんのシーンがもうすごかった!説得力があるというか、もうそのシーンを観ているだけでなんか気づかないうちに感動して涙がスーッて出るようなすごいシーンでした。
荒木 そのあたり、後でちょっと詳しくお話しますけど。東さんは?
東 私、役者さんのお芝居、最も成長とかそういったものが見られるのがボクシングされているシーンかなって思うので、肉体的な努力と表情と精神的なところと、お芝居の中でもボクシングのお芝居ってすごいなと。お芝居なのかな、もはや?!とか思ったりして。その中でも横浜さんの体の作り方、表情の作り方、窪田さんの鋭い瞳孔。
エンドロール終わってからもしばらくそのシーンのことずっと考えてしまうぐらい本当に素晴らしいボクシングシーンだったと思います。
荒木 ボクシング映画って、正直言うと、良くも悪くも先が読めるんですよ、展開から。エンディングでの感動っていう王道パターン。まあ作る方はそういうフォーマットに乗っ取って作っているんですね。その中でクオリティを高めなきゃいけない。一番多いのが、中途半端に強い若者が後の指導者になって、初め打ちのめされて、その結果師弟関係になって2人で世界を目指す、まさにこのパターン。「あしたのジョー」だね。
東 これ、『クリード』も。
荒木 そう。それが王道ですよね。その上でライバルが出現してそれを打ち倒すために頑張るという・・・。というかスポーツ映画って大体こういう基本なんですよね。
それが特に上手く描かれるのがライバルとの対決が反映しやすいこの対決型、ボクシングなんかはそれがとってもよく表せるのでボクシングがやっぱりスポーツ映画の王道だということですよね。でもそれだけに非常に難しいんですね。役者の力量とか、それから試合の見せ方、演出力、これが非常に求められるわけですよ。今回横浜流星くんは元々極真空手のチャンピオンで、特にセンスがあるからこのためにボクシングのライセンスを取ったそうです。
東 上地 おお~! すごーい!
荒木 で見逃してはいけないのが、ライバルのチャンピオン役を演じた窪田さんね。彼はボクシングの映画に出てから自分でボクシングジムに通って、元ボクサーとしてでもですね、身体をキープしているそうです。
上地・東 おっ…今も?!
荒木 今。常に絞って体脂肪率5パーセント以下。ボクシングの映画っていうと「窪田」っていうんですね。体はもちろん表情もね。
東 私、あの「ボクサー」を知っていますもん。
上地 (笑)うんうん、いるよー。
東 何度も見てきましたっていう説得力でしたね。
荒木 2人ともね、フェザー級っていうことになっていますね。
多くのボクシング映画ってわりかしヘビー級多いんですよね。例えばロッキーもそうだったし、実際に言えばマイク・タイソンとかモハメド・アリ。この横浜くんたちの階級はフェザー級ってもっとちいさいですから、軽いほうから数えた方が早い。これもうスピードと手数がものを言うので。映画にするには大変なの。自分たちでやってもらわないと。
東 なるほど~。
荒木 そういう意味で言うと、今回は実力、本当にボクシングをしている2人が非常に難しいことをやってくれたということで、これだけの良いボクシング映画に仕上がったと思いますよ。素晴らしいよね。
東 素晴らしかった。
荒木 役者さんと、それから瀬々監督とカメラの力と上手く出ていました。
東 瀬々さんだからね、ボクシングシーンもすごいんですけど、その人間同士のボクシングシーンが合間に挟まれる人間同士のやり取りとかはね、本当に泣かせますしね。
荒木 本当に若い役者さんの努力には頭が下がりますね。お腹がシックスパックでね、それこそ。私も半分のスリーパックですが・・・から久月の三段飾りみたいな感じですよね。
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上地 もう・・・見せないでください。絶対に見せないでくださいね。
荒木 はい。ということで私がご紹介したのは8月25日公開の『春に散る』という感動的なボクシング映画でした。

上地 後半は私、上地由真のおすすめ作品『Love Will Tear Us Apart』をご紹介します。
あらすじです。物語は主人公の「わかば」の小学生時代から始まります。複雑な家庭環境で窮屈な思いをしながらも学校では明るく振る舞っている「わかば」でしたが、ある日いじめられていたクラスメートの男の子を助けたことから彼女もいじめの標的になってしまいます。しかしそのいじめっ子たちは教室の窓から転落して事故死してしまいます。
そして7年後、高校生の「わかば」はお気に入りのバンドのメンバーと親しくなって一緒に別荘に行くんですけど、謎の男が現れてメンバーを次々に惨殺します。それ以降も彼女と関わりを持った人たちが次々と殺され、ついに「わかば」も追い詰められていき…といお話なんですけども。サスペンスホラー、私も大好きですごく面白かったです。
東 面白かったですよね。
上地 なんかいろんな要素があると思って。ホラーなんだけど、そこの緊張感の中にも笑いがあって、クスッと笑えるシーンもあったりして。あと最後観終わった時には、あれ?これ、ラブストーリー?究極の純愛映画なんじゃないかな、って思ったり。なんかすごい新感覚のホラー映画というか。なんか最後観終わった後、爽快感すら覚えるような面白い作品でした。どうでしたか、荒木さん?
荒木 たしかにね、構成的にもわかりやすいっていう作品じゃなくて、いろんな意味でごった煮みたいな、もっと言うと、闇鍋みたいな。何が出てくるのかわからないみたいな面白さがありましたよね。
東 いい表現。楽しい闇鍋。
荒木 それから粗削りだけどエネルギーを感じる、テクニックよりも情熱とかね、それから筋書きよりもその世界観を見る映画だなというふうに思いましたね。監督のエネルギーが沸々と溢れるのを感じましたよね。というかね、やっぱりあの作品としては観る人を選ぶ映画だと思うんですよ。嫌いな人もいると思う。だけど本人がね、すべてのものをつぎ込んでいるっていう、世界観とかそういう情熱を見てほしい映画だなと思いました。
東 浴びますよね、スクリーンから。 そのパッションみたいなものを浴びて、私もこんなに入り口と出口が違う映画、久しぶりだな。だからあんまり詳しく話したくないんですけども。最初ね、ちょっと大学生の学生っぽい話かと思いきや、到達するところは誰も想像出来ない世界。由真さん言ったけど本当にある種、日本映画でよくあるようなキラキラ映画的な純愛ではない、もうぶっ飛んだ、でもぶっ飛んでいるからこそこの2人にしかわからない愛情なんですよね。それで結ばれちゃうのが究極のいろんなものが濾過されきった純愛ってここまで到達したんだって思えちゃうような作品で、もう感情がジェットコースターになって、ああすごいなって思いながら観ました。
荒木 まあいろんな人が出てますよね。あの新進の役者さんの他にベテランのどなたでしたっけ…高橋ひとみさんとか前田敦子さんだとかね、吹越満さんとかね、いっぱい出ています。その中で前田の敦ちゃんが言っていたんですけども、この映画を一言で言うとどんな映画ですか?って、「こじれた愛の映画」って言ってましたね。
上地・東 ああ~。
荒木 たしかにそうかもしれない。正確に言うとなんて言うのかな、監督のこじれて、こじれて、こじらした、その上沸騰しちゃった愛の映画、そういうものを感じた映画ですよね。だから理屈で観るとだめだね。起承転結がどうのこうのとか、伏線回収がどうのこうの、設定がどうのこうのって言っちゃだめなので、とにかく感覚で観ていただいて監督のエネルギーを浴びてみましょうというね、そういう形の映画かもしれない。
東 今、荒木さんがおっしゃったその純愛の話あったと思うんですけど、私、2人にしかわからなければわからないほど純愛だと思っているんですよ。なんて言ったらいいんだろう、2人にしかわからない世界であればあるほど。そう思いません?もう誰にも理解出来ない、私たちだけでも…。
上地 …いいんだって。自分たちさえわかっていれば…。
東 そう、理解出来る。これぞ純愛…荒木さん、ちょっと納得いかない?
これ男女の差ですから。
上地 でもこの純愛について、私たち結構プライベートでも話し合って、結局そういうことに落ち着くよね。(笑)
東 そう。そういうことに落ち着くってなると、お互いだけが理解出来る、誰に何と言われようとお互いが、これが純愛、お互いにしかわからない関係性だよ、っていうのが純愛だとしたら、この映画はそれを突き詰めたものなのでめちゃくちゃいいんです。
荒木さん?
上地 荒木さんの顔。(笑)
東 荒木さん、純愛したことないから!
荒木 なんとなくわかりますよ。2人だけにしかわからない愛でしょ?
上地 荒木さん、純愛を忘れているんじゃないですか?
東 忘れてるぞ。(笑)
荒木 世の中から変態とか言われても私たちはこれでいいんだ、と思えば純愛でしょ?
上地・東 そうそうそう。
荒木 そんなの私だっていっぱいやってきましたよ、純愛は。
東 なんかちょっと意味が…意味が違うかもしれないけど…。
東 あんまり知りたくなかったね、荒木さんの純愛は。(笑)
上地 あっはっは!まあでもとにかく…。
東 本当に面白かった!
上地 この夏ね、観ていただきたいです。私が紹介したのは8月19日から公開の『Love Will Tear Us Apart』でした。8月公開の映画作品の中から、それぞれの推しをご紹介しました。ぜひ映画館でチェックしてください。
東 エロ評論家って言いかけた?(笑)
上地 あはははは!合ってる。(笑)エロ映画評論家の荒木久文さんと映画ソムリエのさゆみんでした。ありがとうございました!
荒木・東 ありがとうございました!

■上地 由真
オーディションがきっかけで関西を中心に音楽活動開始。2007年シングル「shine day」などをリリース、以降全国各地でライブ活動やイベント参加。最近は女優としても活躍、舞台、映画などのジャンルにも進出。
■東 紗友美
映画ソムリエとしてTV・雑誌・ラジオなどで活動中。趣味は、映画ロケ地巡り。国内外問わず廻り、1年で100箇所以上ロケ地を訪れたことも。インスタグラムでも毎日映画に関する写真やコメントをほぼ毎日掲載中。
■荒木 久文
現在 複数のラジオ番組を中心に、新聞紙面 ニュースWEBなどに映画をテーマとした評論 批評 紹介 などの活動を展開。報知映画賞選考委員 ノミネート委員 日本映画ペンクラブ会員