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「ヤクザと家族 The Family」と「すばらしき世界」のとっておき情報

(2021年2月8日11:30)

映画評論家・荒木久文氏が、「ヤクザと家族 The Family」と「すばらしき世界」のとっておき情報を紹介した。
トークの内容はFM Fuji「GOOD DAY」(火曜午後3時、2月2日放送)の映画コーナー「アラキンのムービーキャッチャー」でパーソナリティ・鈴木ダイを相手に話したものです。

アラキンのムービーキャッチャー/「ヤクザと家族 The Family」と「すばらしき世界」のとっておき情報
(映画トークで盛り上がった荒木氏㊧と鈴木氏)

鈴木   お呼びしましょう!3時のあなた~、荒木さーん!

荒木   はい、こんにちは。よろしくお願いします。
今日はヤクザ2本立てです。またヤクザ映画?と思われそうですが、今回ちょっと違います。バイオレンスとかそういったものではないので。

アラキンのムービーキャッチャー/「ヤクザと家族 The Family」と「すばらしき世界」のとっておき情報
「ヤクザと家族 The Family」の舘㊧と綾野(2021年1月29日(金)全国公開)(©︎2021『ヤクザと家族 The Family』製作委員会)(配給:スターサンズ/KADOKAWA)

まず1本目ですが、『ヤクザと家族 The Family』という作品です。
先週1月29日から公開開始しています。

舞台は日本の地方都市。たぶん静岡か、川崎かな?
時は1999 年、今から20年前です。
主人公は山本賢治君19歳。綾野剛さんが金髪で頑張ってます。
すでに母もなく、父親は覚せい剤で死んでしまっています。
彼はいわゆる町のチンピラで、仲間と刹那的に生きていました。
ある日ちょっとしたことで地元のヤクザの親分、柴咲組の組長(舘ひろしさんが演じています)の危機を救います。それがきっかけで彼は組長と父子の契りを結ぶことになります。盃をもらう、ヤクザになるわけですよね。
それから5年間、短気で一本気な性格の彼は喧嘩も強いし、キップもいい。当然ヤクザの世界で男を上げる、のしあげるわけです。
そんな中、対立ヤクザ組織の構成員を刃物で刺した仲間の身代わりになって刑務所に入ることになります。そして2019年、14年の刑期を終えた山本が直面したのは、「暴対法」の影響でかつての隆盛の影もなくなった柴咲組の姿でした。
さあこの先彼はどうやって生きてゆくのか…家族が欲しかった男と、それを許さない社会の物語です。

この映画、特徴は二つありあます。

一つはヤクザ側の主観と社会一般からの見方をはっきり分けているとこです。
つまり、ヤクザの視点と市民の視点をしっかり区切っています。

もう一つは、1999、2005、2019年と3つの時代からヤクザを見るという構成です。
それぞれの時代が描かれます。山本の少年時代、ヤクザ全盛期時代、暴対法で反社として排除された現代の三つです。すべて 最後は現代のパートに繋がり集約されています。

俳優さんですが、綾野剛さんのチンピラ役というのは何回か見ていますが、本格ヤクザ役は初めてですね。ヤバイ目つきのヤバイ奴です。
無表情の演技も、仲間を失った時の表情も素晴らしいです。

もう一人、柴咲組組長の舘ひろしさんが渋い!43年ぶりの親分役だそうです。もちろん組長としてのオーラもありますが、恐ろしさと言うよりダンディが勝っている感じです。
時々 「ハズキルーペ、大好き」が頭にちらつきますが、それはありません。(笑)
怖い顔は迫力ありましたね。

この映画にも表現されているようにカギになっているのは、「暴力団対策法」いわゆる暴対法ですね。この法律は、平成4年施行されました。
簡単にいうと日本から暴力団をなくしてしまおうというもので、組織暴力団を徹底的に取り締まり、暴力団の人たちを生活していけない状況に追い込むものです。

ダイちゃん、我々も銀行口座作るときなんかに「私は反社会的勢力ではありません」ってあるじゃない。

鈴木   あるね!

荒木   そういうチェックすることが多くなりましたよね。

鈴木   そうですね。

荒木   その効果もあってか組織する暴力団は全国で6万人を割っています。

鈴木   だから効果があったってことですよね?

荒木   そう、本当に効果があったみたいです。もう徹底的に潰していますからね。
しかし組織に属さない、法の網にかからない、いわゆる「半グレ」と呼ばれる若い人たちが爆発的に増えていると言われています。特殊詐欺なんかをやっているのはこの人たちが多いんじゃないのかと言われています。つまり、組織として活動していない人たちなので暴対法に引っかからないのでやりたい放題です。

この映画とちょっと離れるんですけど、数年前に公開されたドキュメンタリー映画に『ヤクザと憲法』という映画があります。
暴対法の対象になっている暴力団に密着したドキュメンタリー映画なのですが、ここには、我々が考えもしなかった現実が記録されています。ヤクザは銀行口座も持てず、保険にも入れません。携帯も契約出来ずに、まあサウナにも行けない。
実は、彼らの家族や子供たちも社会的な制限が課せられてしまいます。 保育園に入れない、給食費が振り込めない、医療保険もダメ そして差別といった状況が生じるわけです。
誰も親は選べないにもかかわらずです。暴対法によってヤクザとその家族たちには日本国憲法第14条に規定されている基本的人権が認められていないのではないかという告発がヤクザの側から起こっています。もちろん反社会的勢力は、いて欲しくない存在だし、いろんな権利を剥奪して「ああはなりたくない」と思わせる事も大切だけど、暴力団員を辞めても「元暴力団員」として見られ社会的信用が無いため、結局は同じ世界から抜け出せず、巧妙に形を変えた犯罪が生まれるだけなのでは?という見方もあるんですね。
この辺りは考えさせられるところです。

この映画には二つの家族が出てきます。 山本君の妻と娘という本当の家族。
柴咲組というヤクザの一家・ファミリー、この二つの家族を彼がどのように生きていくのか。
ヤクザ映画っていうと、義理人情とか任侠ものがあるんですけれども、組員の身内意識や家庭に焦点をあてた作品です。

鈴木   人間ドラマですね。

荒木   そうです。ヒューマンドラマです。珍しいタイプの作品です。
そういった社会的テーマを頭に入れながら見ると、擁護するわけじゃないけど、彼らの苦しみや生きづらさが浮かび上がってきます。
『ヤクザと家族 The Family』という現在公開中の作品です。
バイオレンス映画だと思って見ると違いますからね。

鈴木   昔の高倉健さんとか菅原文太さんを見て憧れちゃうようなかっこよさはないわけですよね?

荒木   全くありません。社会的な映画ですので、そういう視点で見るととても為になる作品です。

アラキンのムービーキャッチャー/「ヤクザと家族 The Family」と「すばらしき世界」のとっておき情報
「すばらしき世界」(©佐木隆三/2021「すばらしき世界」製作委員会 )(2021年2月11日(木・祝)全国公開 配給:ワーナー・ブラザース映画)

続いて2本目ですが、こちらも社会の中で生きていこうとする元ヤクザの話です。 2月11日公開の『すばらしき世界』という作品です。

主人公が中年から老年に差し掛かって、ヤクザの世界から足を洗おうとして社会の中で苦しむ男の姿を描いている作品です。
主人公・三上を役所広司さんが演じています。
13年の刑期を終えて旭川刑務所を出所するところから映画は始まります。
彼は10代半ばから暴力団にかかわり、前科を10犯ほど重ねてきました。
最終前科は若いヤクザを日本刀でめった刺しにした殺人罪で8年のところを、刑務所内でトラブルばかりを起こし、出所するまで13年かかるという人生の大半を刑務所で過ごしてきた男です。
刑務所から出所して身元引受人の弁護士に迎えられるんですけど、以前は刑務所から出ると自分の組に帰っていたんですが、彼は今度こそヤクザの世界とは縁を切り、真っ当な生活をしようと誓います。そして下町のアパートに住み、職探しを始めますが当然のことながら元殺人犯ということでなかなか職に就けません。

鈴木   そういうのって身元を隠すっていうことってできないんですか?

荒木   できないんですよ。雇う側はプロフィールとか調べますからね。

この三上はもともと短気な性格で、一度ぷちんと切れると手がつけられない暴れん坊・トラブルメーカーさんなんですね。だから刑務所内でもトラブルばかり起こしていたんですね。
でもその反面、怖い外見とは裏腹に困っている人を放っておけない優しい一面もあります。まっすぐな正義感の持ち主で、逆にそれで損をしたりしていますが、彼は何とか本当にまっとうに生きようと心から思いもがき苦しみます。
そんな三上のもとにあるテレビマンたちが現れます。仲野太賀さんと長澤まさみさんが演じています。一度社会のレールを外れ、今度は立ち直りたいと悪戦苦闘する三上の姿を、彼らはテレビ番組にしようともくろんでいたんですね。
三上は、まっすぐすぎる性格がゆえにトラブルばかり引き起こしますが、いつしかこの二人をはじめ周りの人との交流が周囲の人々にだんだん影響を与えていき…というものです。
監督は西川美和さん。ご存じですか?

鈴木   はいはいはい!

荒木   『ゆれる』『永い言い訳』『ディア・ドクター』などで知られていますが、この人オリジナルにこだわり、これまですべてオリジナル脚本の映画ばかりを手がけたきたんですが、彼女にとって初めて小説原作の作品です。

直木賞作家・佐木隆三の小説『身分帳』を原案に、舞台を原作の1990年から現代に置き換えて脚本を作成しているんですね。
  『身分帳』というのは、刑務所での収容者の経歴はじめ所内での行動や犯罪記録などが記載されている書類のことで、つまるところその囚人の生きてきたプロフィールみたいなものですね。

鈴木   履歴書みたいなものですね。

荒木   そうそう、履歴書みたいなものです。

俳優陣は、役所広司さんです。ダイちゃん色んなところに出てるって言ってましたよね。

鈴木   なんの映画見ても、あれまた役所広司さん出てるって思うんですよ。

荒木   僕もそう思ってたんです。よく出てるという風な…。
ところが今回 役所広司さんの圧倒的な存在感。これがもう鬼気迫るというか…。
私、今までこの役者さんをそこまで評価したことがなかったのですが、完全に脱帽というか、土下座ですよ。
難しい役をこれだけこなせるのは並大抵のことじゃないです。最大限です。素晴らしいですよ、この作品。

鈴木   さすがのさすがですね。

荒木   他にも仲野太賀さん、長澤まさみさん、橋爪功さん、梶芽衣子さん、六角精児さんなどそうそうたるメンバーが出演していますが、本当に役者さん全て素晴らしいです。 だから当然ですが、映画の感想を一言でいうと、「深く心をえぐられた2時間」ですね。 私だけじゃなくて、1月にして早々、今年の邦画ベスト3に入りそう!下手したらベスト1だという人が多いんです。

鈴木   いやー、もう賞レースが見えてくるっていう…。

荒木   本当にこういう素晴らしい映画だとは思いませんでした。

今の日本は不寛容社会とよく言われていいますよね。一度レールを踏み外した人間に対してはやり直そうとしても簡単ではありません。一度失敗したらなかなか元のレールには戻れない現実社会の中で、七転八倒して苦しむ男の現実をこの上なくリアルに描いています。そこには生活保護や雇用問題など、今の日本の現実というのがギュッと詰め込まれています。そんな世の中でも、自分の事を待っていてくれる人、応援してくれる人、親身になってくれる人がいて、その反面、当然偏見と差別のまなざしを持つ人もたくさんいます。 この映画を見ていて、人間がまっとうに生きるとはどういうことなのか、社会のルールは何のためにあるのか。
そしてタイトルにもあるように、私たちが生きている社会は「素晴らしい世界」なのか?というように、いくつものテーマを見る人に投げかけてくる作品です。
こう言うと重い感じになるんですが、作品中にはいろんな細かい笑いが散りばめられていて、クスクス笑い声もあったり、涙が出たりと、年の初めから不思議と心地よい余韻が残る優れた作品と言って間違いないですよ。

鈴木   大絶賛じゃないですか!

荒木   今年一番の収穫物というか見物です。
2月11日公開の『すばらしき世界』という作品でした。

今日は偶然ですが、ヤクザ・アウトローを主人公にした作品を2本紹介しました。
どちらもヤクザをテーマにしていますが、いわゆるヤクザ映画とは無縁の質の高いヒューマンドラマですので、ヤクザ映画だと思って行かないようにしてくださいね。

鈴木   でも荒木さん、この役所広司さん演じる三上さん、正直で実は根は優しいという男がある一面ではめちゃくちゃ激しい暴力を振るうわけじゃないですか。

荒木   暴力と言っても社会悪、いじめられてる人や恐喝されている人を見たらやっぱり助けに行っちゃうというね。ほとんどの人は見て見ぬふりをするじゃないですか。聞こえないふりをするでしょ?そういうことをしないわけですよ。困ってる人や理不尽な暴力を受けている人がいたら必ず助けるという、そういう一本気のある人ですが、それで面倒を起こしちゃうんですね。

鈴木   なんか皮肉ですね。人生は。

荒木   そういう社会にある意味馴染めない、妥協できない人なんです。

鈴木   なんか今日は不思議な余韻を残してコーナー締めそうです。でもこれは見てみたいなぁ。荒木さん、ありがとうございました。

■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。

■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。FM Fuji『GOOD DAY』(火曜午前10時)のパーソナリティなどに出演中。

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