Plusalphatodayツイッター





「いのちの停車場」と「お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方」 のとっておき情報

(2021年5月21日12:15)

映画評論家・荒木久文氏が、「いのちの停車場」と「お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方」のとっておき情報を紹介した。
トークの内容はFM Fuji「Bumpy」(月曜午後3時、5月17日放送)の映画コーナー「アラキンのムービーキャッチャー NEO」でパーソナリティ・鈴木ダイを相手に話したものです。

アラキンのムービーキャッチャー NEO/「いのちの停車場」と「お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方」のとっておき情報
(映画トークで盛り上がった荒木氏㊨と鈴木氏)

荒木     今週公開される映画の中から、人間の生と死に関するシリアスなドラマと熟年夫婦のコメディみたいな映画をご紹介です。 まず1本目 あの大女優 吉永小百合さんの最新作です。「いのちの停車場」5月21日金曜日の公開です。

鈴木      すごい話題になっているじゃないですか?

アラキンのムービーキャッチャー NEO/「いのちの停車場」と「お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方」のとっておき情報
「いのちの停車場」(©2021「いのちの停車場」製作委員会)

荒木      そうですよね。東京の大きな病院の救命救急センター(いわゆるERですね)で働く、62歳のベテラン女医・白石咲和子(吉永小百合)が主人公です。
彼女は長い間 この病院で働いていたのですが、ある事件の責任をとって退職し、実家がある金沢に帰ります。金沢で年老いた父親と暮らし、地元の「まほろば診療所」という小さな在宅医療専門の医院に在宅医として勤め、いわば  患者の「生き方を見守る医療」を始めます。これまで「緊急にとにかく命を救う」という最前線の現場で戦ってきた、咲和子さんは、まさに正反対の医療の在り方考え方の違いに戸惑います。
咲和子は、その多くが治療が困難な在宅患者たちと出会っていく中で、患者やその家族とともに、その人の残りの生き方を考えるようになってゆきます。そして そこに自分の居場所を見つけていくようになった咲和子ですが、突然 父が病に倒れます…。

原作は医療小説の第一人者 南杏子さん、現役の内科医師でもあります。 医師だからこそ描ける医療現場の臨場感や緊迫感がすごいですよ。

鈴木    リアリティがありますよね。

荒木    そうなんですよ。吉永さん自身は今回で映画出演122本目ということ。コロナ禍の撮影ということで 想像以上の厳しさと困難を感じたと話しています。 毎日PCR検査やったみたいですよ。
また、お医者さん役ははじめてで、命の大切さや重みを真正面からとらえ医療に従事される方への感謝を込めて作り上げた、と話しています。
見る方が前向きに生きる力になれば…とコメントしています。
出演者は診療所の院長・仙川徹に西田敏行。看護師・星野麻世に広瀬すず、医大卒業生・野呂聖二に松坂桃李 その他の出演者は患者やその家族として石田ゆり子、小池栄子、南野陽子、柳葉敏郎、泉谷しげるらが演じますが、自分らしく生きようとする患者たち、患者の家族たちに扮した役者たちの演技も儚いものから力強いものまでさまざまですよね。
役者さんたちもただ元気なければいいというものでもないですからね。
監督は「ソロモンの偽証」の成島出さんね 山梨県出身です。
映画の中では 救命医療 在宅医療 安楽死など現在の医療の抱える問題について様々な問題提起がなされ、色々考えさせられます。
明るく楽しい映画ではありません。重い映画ですよね。でもなんとなく清々しいというか、潔いことも事実です。
また 命ある者に必ず訪れる死に対して医師はどのように向き合うべきなのか?
患者本人とその家族はどのように向き合うべきなのか?を深く問い掛けてくる作品ですよ 人生のさまざまなステージに立つあらゆる年代の方々や家族に病気を持つ人、高齢の方がいらっしゃる方で感じることが違うでしょうね。
だいちゃんなんかの世代では 親のことが、念頭に浮かぶでしょうし、お父様、お母様 おいくつですか?

鈴木   母親が90才で父親が88才でとても元気ですよ。

荒木   そうですか!まず 親のことが念頭に浮かびますよね。
翻って私たちの世代にとっては他人ごとではない、まさに自分のこと…まさに 今そこにある問題です。加えてこのコロナが蔓延するこのご時世に、人それぞれの「生」と「死」を描いた作品は、とても考えさせられてしまします。この時世だからこそ見つめるべきいのちの映画 そういう意味でも今、見ておくべき作品と言えるでしょうね。
「いのちの停車場」5月21日から公開です。都内ではおいおい公開です。

アラキンのムービーキャッチャー NEO/「いのちの停車場」と「お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方」のとっておき情報
「お終活 熟春! 人生、百年時代の過ごし方」(5 月 21 日(金)全国ロードショー) ( (C) 2021「お終活」製作委員会 上映時間:1時間53分)(出演:水野勝 / 高畑淳子 / 橋爪功) >

荒木   はい 変わって同じ「命」の話でも、コメディです。 5月21日公開「お終活 熟春!(じゅくしゅん) 人生、百年時代の過ごし方」
お終活は 終わりの活動という意味の終活ですね。熟春!(じゅくしゅん)というのは 成熟のじゅく、熟しているという意味のじゅくに春、熟した春ということですね。 大ちゃんのご両親もお父様88才 お母さま90才とお元気とのことですが…。
橋爪功さんが演じる夫と高畑淳子演じる妻。このふたりは、来年には結婚50年を迎える熟年夫婦です。
夫は定年退職してから10年近くたちますが、趣味は麻雀。典型的な亭主関白で、妻とは事あるごとにすれ違い。しょっちゅう夫婦喧嘩ばかりの毎日です。
妻はそんな頭の固い夫のことはほとんど相手にしないで、趣味のコーラスでストレスを発散の毎日を送っています。
同居する独身の娘・剛力彩芽ちゃんがやってますが、久しぶりです、6年ぶりの出演らしいですね。どちらかというと妻のほうの味方で 夫のイライラは募るばかりです。友人の麻雀仲間たちと、しょっちゅう妻に対する愚痴を言い合っています。

鈴木     まあ普通だよね。よくある光景ですよね。

荒木     そうですね。そんななか、娘は自分が営むキッチンカーのお客で、葬儀会社に転職したばかりの男性と知り合います。 その男性から彼の会社が開催するイベント「終活フェア」に誘われます。よく見ますよね、最近 終活フェアって。お葬式の時の経費のことからお墓や相続のことに至るまでいろいろ人生の終わりについて知っておいたほうがいいことを学ぶイベントですよね。
誘われた娘は母親にそこに行くことを勧めた結果。母親は最新の終活情報を勉強し、前向きに今後のことを考えようと、試しに思い出ビデオなんかを作ろうと夫に相談しますが、夫のほうは、とんでもない縁起でもないと嫌がって、それが原因で新たな夫婦喧嘩 新しい危機が生まれてしまいます。
娘や周りを巻き込んだ、夫婦の“お終活”、さあどうなりますか?という喜劇です。 橋爪功、高畑淳子の夫婦、これだけで内容が、見えるような気がするでしょう?

鈴木     見えますよね。

荒木     熟年夫婦あるあるが満載ですよ。本人達は笑えないけど・・周りは大笑いできます。
日本の男性の平均年齢は81歳ほど 女性は87歳ぐらいですか?だから すぐ人生100年時代が来ると言われますよね。大ちゃんのご両親はまさにすぐ人生100年ですよね。 だいちゃん だって下手したらあと50年近くもの夫婦生活が残っているんですよね。 奥さんと二人で…。

鈴木    うわー、そうだよねーやばいー。

荒木    そういう現状を背景に人間模様を面白おかしく描いています。 だからこの映画は人が死ぬ事自体をテーマにしているというよりは、死を意識し準備しながら、これからの残りの人生をどうやって生きるのか、という発想で作っています。 そして「死」というものへの向き合い方が『別れ』から『思い出の共有』という考え方にしたらどうなんだろうと提示してきます。

鈴木    なるほどね。

荒木    終活というちょっと暗いイメージがすこーし変わると思いますよ。 これから、旅立つ側、我々以上の世代やそれを見送る側 だいちゃんたち以降の世代の準備の参考にもなりますね。笑いながら。ちょっと、松竹の家族喜劇なんかのテイストがあって、ちょっとべたですけど面白いですよ。

鈴木     ところで荒木さんは終活なんてやっているんですか?

荒木     完全に考えてますよー。でも突然死んじゃったらどうしよう。あれこれ死んだと見られたら大変。どうしようね。

鈴木    わたしにパスワードを預けたほうがいいですよ。 わたしも同じですけどね。(笑い)

荒木     5月21日公開 「お終活 熟春!(じゅくしゅん) 人生、百年時代の過ごし方」という作品でした。

■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。

■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。FM Fuji『GOOD DAY』(火曜午前10時)のパーソナリティなどに出演中。

【関連記事】
アラキンのムービーキャッチャー NEO/「ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから」と「ファーザー」のとっておき情報
アラキンのムービーキャッチャー NEO/「ジェントルメン」のとっておき情報
アラキンのムービーキャッチャー NEO/第93回アカデミー賞のとっておき情報
アラキンのムービーキャッチャーNEO/「SNS-少女たちの10日間-」と「スプリー」のとっておき情報
アラキンのムービーキャッチャーNEO/「砕け散るところを見せてあげる」のとっておき情報
アラキンのムービーキャッチャーNEO/「ザ・スイッチ」のとっておき情報
アラキンのムービーキャッチャー/「ゾッキ」と「JUNK HEAD」のとっておき情報
アラキンのムービーキャッチャー/第73回アカデミー賞の注目作品「ノマドランド」と「ミナリ」のとっておき情報
アラキンのムービーキャッチャー/2020年の映画界と「騙し絵の牙」のとっておき情報
アラキンのムービーキャッチャー/東日本大震災関連の映画と「まともじゃないのは君も一緒」のとっておき情報
アラキンのムービーキャッチャー/女性が主役の3本の映画のとっておき情報
アラキンのムービーキャッチャー/「未体験ゾーンの映画たち 2021」と「あのこは貴族」のとっておき情報
アラキンのムービーキャッチャー/「哀愁しんでれら」と「マーメイド・イン・パリ」のとっておき情報
アラキンのムービーキャッチャー/「ヤクザと家族 The Family」と「すばらしき世界」のとっておき情報
アラキンのムービーキャッチャー/「花束のような恋をした」と「名もなき世界のエンドロール」のとっておき情報
アラキンのムービーキャッチャー/「未体験ゾーンの映画たち」と「さんかく窓の外側は夜」のとっておき情報
アラキンのムービーキャッチャー/2021年公開の邦画ラインアップと1月公開の話題作
アラキンのムービーキャッチャー/2020年の興行収入ベスト10と「私のベスト映画3」
アラキンのムービーキャッチャー/「ハッピー・オールド・イヤー」のとっておき情報とプロの評論家が選ぶ「私の好きな映画ベスト3」
アラキンのムービーキャッチャー/「声優夫婦の甘くない生活」「私をくいとめて」「新解釈・三國志」「天外者」のとっておき情報
アラキンのムービーキャッチャー/「燃ゆる女の肖像」「バクラウ 地図から消された村」「サイレント・トーキョー」のとっておき情報
アラキンのムービーキャッチャー/「アンダードッグ」「アーニャは、きっと来る」「ヒトラーに盗られたうさぎ」のとっておき情報
アラキンのムービーキャッチャー/「Malu 夢路」と「滑走路」のとっておき情報
アラキンのムービーキャッチャー/「ビューティフルドリーマー」と「さくら」のとっておき情報
アラキンのムービーキャッチャー/トランプ大統領出演の映画やTVと「十二単衣を着た悪魔」のとっておき情報
アラキンのムービーキャッチャー/東京国際映画祭と「ジャン=ポール・ベルモンド傑作選」のとっておき情報
アラキンのムービーキャッチャー/「きみの瞳(め)が問いかけている」と「花と沼」のとっておき情報
アラキンのムービーキャッチャー/「スパイの妻」と「わたしは金正男(キム・ジョンナム)を殺してない」のとっておき情報
アラキンのムービーキャッチャー/「82年生まれ、キム・ジヨン」と「本気のしるし」のとっておき情報
アラキンのムービーキャッチャー/「ある画家の数奇な運命」と「小説の神様 君としか描けない物語」のとっておき情報
アラキンのムービーキャッチャー/「ミッドナイトスワン」「蒲田前奏曲」「エマ、愛の罠」のとっておき情報
アラキンのムービーキャッチャー/「窮鼠はチーズの夢を見る」と「マティアス&マキシム」のとっておき情報
アラキンのムービーキャッチャー/「喜劇 愛妻物語」と「カウントダウン」のとっておき情報
アラキンのムービーキャッチャー/「頑張る若者たち」を描いた「行き止まりの世界に生まれて」「田園ボーイズ」のとっておき情報
アラキンのムービーキャッチャー/青春学園コメディ「ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー」と村上虹郎主演の「ソワレ」のとっておき情報
アラキンのムービーキャッチャー/ホラー映画特集―「メビウスの悪女 赤い部屋」「事故物件 恐い間取り」などのとっておき情報
アラキンのムービーキャッチャー/「ジェクシー! スマホを変えただけなのに」などこの夏おすすめの映画3本のとっておき情報
アラキンのムービーキャッチャー/高校生を描いた青春映画「君が世界のはじまり」と「アルプススタンドのはしの方」のとっておき情報
アラキンのムービーキャッチャー/海洋パニックホラー「海底47m 古代マヤの死の迷宮」など「海の映画特集」
アラキンのムービーキャッチャー/又吉直樹の小説を映画化した「劇場」と韓国映画「悪人伝」のとっておき情報
アラキンのムービーキャッチャー/映画「透明人間」と「河童」と「お化け」のとっておき情報
アラキンのムービーキャッチャー/今までにない長澤まさみ主演の「MOTHER マザー」と「のぼる小寺さん」のとっておき情報
アラキンのムービーキャッチャー/「ランボー ラスト・ブラッド」と「悪の偶像」など注目映画のとっておき情報
アラキンのムービーキャッチャー/「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」と「15年後のラブソング」のとっておき情報
アラキンのムービーキャッチャー/ドイツ映画「お名前はアドルフ?」と異色のドキュメント映画「なぜ君は総理大臣になれないのか」のとっておき情報
アラキンのムービーキャッチャー/「わたしの好きな映画・思い出の映画」:「世界残酷物語」と「八月の濡れた砂」のとっておき情報
アラキンのムービーキャッチャー/ブラピ主演「ジョー・ブラックをよろしく」のとっておき情報
アラキンのムービーキャッチャー/パンデミックムービー「コンテイジョン」と「ユージュアル・サスぺクツ」のとっておき情報
アラキンのムービーキャッチャー/コロナ感染拡大でミニシアターの危機と救済&映画「スター誕生」のとっておき情報
アラキンのムービーキャッチャー/映画「レオン」と「水の旅人 侍KIDS」のとっておき情報